不動産サイクルとドル円 ― 節目を並べて見ると、2026年前後が少し気になってくる ―
不動産サイクルとドル円
― 節目を並べて見ると、2026年前後が少し気になってくる ―
不動産サイクルとは何か
不動産市場を見ていると、好調な時期と落ち着く時期が、 ある程度まとまった流れで繰り返されているように感じることがあります。
そうした動きを整理する考え方の一つが、 不動産サイクル(およそ18.6年)と呼ばれるものです。
この考え方は、20世紀前半に活動した都市経済学者 ホーマー・ホイト(Homer Hoyt)が提唱した、 長期的な不動産循環の研究に由来します。
不動産価格や投資、信用の広がりと引き締めが、 だいたい18〜19年ほどの間隔で大きな節目を迎えてきた、 という過去の事例をもとにした整理になります。
将来を当てにいくための理論というより、 「これまで、どんなタイミングで流れが変わってきたのか」 を振り返るための見方、と考えると分かりやすいかもしれません。
これまでの節目と、その時のドル円
では、実際に不動産サイクルの節目とされる時期と、 その頃ドル円で何が起きていたのかを並べてみます。
1973年前後
高インフレと金融引き締めの中で、不動産市場は一度、調整局面に入りました。
同じ時期、ニクソン・ショックを経て為替は固定相場制から変動相場制へ移行します。 ドル円が市場で大きく動くようになった、いわば「長期チャートのスタート地点」に近い時期です。
1989年前後
日本の地価や商業不動産が、今振り返っても異常と言えるほどの水準に達しました。
この頃、ドル円は円高方向へ動き、その後は長く下落基調が続きます。 不動産のピークと、為替の流れが変わるタイミングがほぼ重なっていた点は、後から見るとなかなか印象的です。
2007年前後
米国の住宅バブルがピークを迎え、サブプライム問題をきっかけに信用収縮が広がりました。
ドル円は120円前後から急速に円高へ動き、金融市場全体が大きく揺れた時期でもあります。 不動産の変調が、為替にもはっきり表れた例と言えそうです。
節目を並べて見えてくること
こうして振り返ると、不動産市場が大きな節目を迎えた前後には、
- 金融環境が変わり始めている
- 信用の広がりが一巡している
- 為替でも流れが変わったり、不安定になったりしている
といった動きが、繰り返し見られます。 もちろん、不動産が直接ドル円を動かしている、と単純に言えるわけではありません。 ただ、同じタイミングで両方が動いていたという事実は、頭の片隅に置いておいてもよさそうです。
この流れが続くとしたら、次はいつか
18.6年という時間軸で見ると、
- 1989年前後
- 2007年前後(そこから約18年後)
と節目が並びます。そう考えると、その次は 2025〜2026年前後が視野に入ってきます。
もちろん、年数がぴったり合うわけではありませんし、必ず同じことが起きるとも限りません。 それでも「次の節目に近づいているかもしれない」と意識する人が出てくる時期ではあります。
2026年1月現在の状況
2026年1月現在、不動産市場は価格水準を保ったまま、全体としてはやや動きが鈍い印象です。
一方、ドル円は160円近辺と、長期で見てもかなり高い水準にあります。
これを見て、「もう全部終わった」と言うこともできませんし、 「これから必ず何か起きる」と決めつけることもできません。 ただ、不動産が高い水準で落ち着き、為替が高水準にあるという組み合わせは、 過去の節目前後でも見られてきた形ではあります。
2026年前後をどう考えるか
以上を踏まえると、2026年前後は、何か起こるんじゃないかと恐れるのではなく、 「少し気にしながら見ておく」くらいの距離感がちょうどよさそうです。
過去の節目も、その瞬間には「ここが転換点だ」とはっきり分かっていたわけではなく、 後から振り返って意味づけされているケースがほとんどです。
おわりに
不動産サイクルは、決して未来を言い当てるものではありません。 ただ、これまでの流れを整理してみると、 不動産とドル円が同じ時期に動いてきた場面がいくつもあったことは確認できます。
高い水準で落ち着いている不動産市場と、160円近辺にあるドル円。 2026年前後は、 「何も起きないと決めつけず、少し意識しておく」 ――そのくらいの構えで見ておくのが、現実的なのかもしれません。

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